五行歌

赤い口紅が

はみ出しているのを

見たとき

その人の病を知った

クラス会の日

泣いている赤ちゃんに

声を掛けない

好きと言う女に

しらんふりする

愛が育たなくてもしらないよ

ミーンミンミンミー 

蝉が啼く

オスがメスを呼ぶんだって

男の子は

ババに説明する

八月四日に入院したけど

娘は五日に生まれた

四日に生まれたら

養女に出した美佐子ちゃんと

同じ日だったと夫の母が言う

自動ドアが

開いて

ハエも入ってきた

ここは病院

ハエの入る所じゃないよ

今日はお出かけと思ったら

お兄ちゃんの病院

つまらないけど

僕が痛いわけじゃないから

まあ良いか

予約の病院に

行ったから

さあやっと

夏休みだね

どこか行こうよ

子ども用の車椅子

まだバギーに乗せてるの?

って言わないで

歩けるなら

歩きたいよ誰だって

ははん

今年の流行はこれね

町を歩いて

流行がわかったことに

満足

こうして出てこなかったら

髪も染めず

顔も剃らず

おばあさん度が

進んでいたかなあ

服のサイズが

違うように

ここに居る

ひとりひとりの人生の

違いは大きいね

親しみを込めたつもりの

乱暴な言葉でも

繰り返されるたび

息子は父を

嫌いになっていく

スマートな女性を見ると

自分を見てくれる

気にかけてくれる

愛し合う人が

居るのだなあと思う

ハサミを貸して下さい

退院するのに

タグを切ってもらうのを忘れて

お家に帰られるの良かったですね

にこっと男の子が笑った

ばぁばのど飴?

ううん 尚に口が臭いと

言われたくないから

僕言ったことないよ でも臭い?

ばぁばはばぁばの臭いがする

名のない草

などない

名を

知らない

だけ

普通に細かったとき

あんなに颯爽と歩いたかなあ

トボトボ歩いた気がする

太ってからの年の方が

ちゃんと歩いたんじゃないかな

モノクロの

服の家族が通る

花柄のような明るい

服の家族が通る

ここは子どもの病院