桐始結花

七十二候では今日は桐始結花きりはじめてはなをむすぶにあたります。

桐の花が実を結び始める頃です。

桐は箪笥や下駄などむかしから暮らしの道具に欠かせないものでした。

田舎ではよく桐を目にしましたが、最近では桐の花を見かけることがほとんどなくなりました。

昔は桐は身近な植物であったのでしょう。

以前読んだ白洲正子さんの本の中で、とても美しい桐の林について書かれていたことがとても印象的でした。

見渡すかぎり紫に煙る景色、しっとりとよどんだ空気の中に、薄紫の雲がたなびいいている様がまるで夢のようだ

真に美しい風景というものは、一生に一度の出会いではないか、

それは、その日の天気と、時間と、こちらの心身の状態と、その他もろもろの偶然がぴたりと一致した時、忽然と現れる。

いわば神わざのようなものだから、二度と望んでも得られるはずはなく、望むこと自体が冒涜のように思われる

この文章がとても心に残り、紫色に染まる桐の林を想像してみたりしますが、天候や時間などさまざまな要素が絡み合って偶然の中で現れる姿はとても想像できません。

心を動かされるような景色に出会うというのは、見ようと思って見えるものでもなく、数の偶然が重なり、向こうから姿を見せるものなのかもしれません。

生きている間に、どれだけ心揺さぶられる景色に出会えるのだろうか

どれだけ心に留めておきたい言葉や文章に出会えるのだろうか

真に美しいものを美しいと感じ、素晴らしい景色や言葉、人、物など心のなかに多くの感動が残り、豊かな人生であったと思えたら素敵だと思います。