映画「バグダッド・カフェ」(第二稿)

喧嘩が絶えないうらぶれた砂漠のモーテル/カフェに女の客が来た。名はジャスミン。肥満体のドイツ人。モーテルの女主人ブレンダは夫に出て行かれたばかり。店は汚く、事務所もまるでごみ屋敷。綺麗好きのジャスミンはブレンダの留守に、無断で大掃除をしてしまう。帰ったブレンダは事務所の変貌ぶりに激怒するが、徐々に態度を軟化。険悪な雰囲気は消え次第に居心地のいい場所になってゆく。近所の常連客コックスはハリウッドの画家。ジャスミンをモデルに油彩画を描くうち、二人に恋愛感情が芽生え始める。ジャスミンは手品を学び、店で披露。このユーモラスな隠し芸がトラッカー達に評判になり、ベガスより凄いと店の繁盛を招く。身辺整理の為彼女が帰国すると見る影もなく寂れてしまうが、ドイツからジャスミンが戻ると活気が復活。ある日コックスは彼女を訪ね、プロポーズ。ジャスミンはブレンダに相談するわと微笑む。

家庭の不和でとげとげしかった人間達。一人の女性の出現で生活態度が改善、カフェは和やかで楽しい場に劇的に変わってゆく。主演のマリアンヌ・ゼーゲブレヒトは美女とは言えないが、こども好きの心優しい女性ジャスミンを演じて素晴らしい。ブレンダの家族で音楽愛好者サロモのピアノは、神経質な演奏でしかなかったのに、ジャスミンの賛辞ですっかり改心、流麗なバッハを奏でるようになる。元はと言えば旅行中の夫婦喧嘩がきっかけ。ジャスミンが誤って車から夫のスーツケースを持ち出し、出て行ってしまったのが発端だった。夫のベガス土産にあった手品セットが思わぬ幸運を店にもたらす。ちょっとした心遣いやヒントで、生活というものは驚くほど改善できる事を、映画は教えている。監督パーシー・アドロン。アメリカが舞台のドイツ映画。後に編集でブレンダの夫が帰還する場面が追加。物語は大団円となる。