対話的日記 神奈川健康福祉大学の学長さんもご講演で

☆印が私の意見、同じように役に立たないと思われることでもとことん話し合って考えてみなさいとおっしゃっていた。http://www.kuhs.ac.jp/shoukai/2013072400225/

☆その時、ドイツ医学の権威に従って役に立つように考えていた森鴎外脚気は伝染病ということで、食事の改善をさせなかった。そのために兵士が何人も死ぬことになったという話があった。軍隊で白米を食べさせてビタミンB1の欠乏症になってしまったのだ。無駄と思われるような異見にでも耳をかた向けることが大切だ。

 昨年のノーベル医学生理学賞を受けた大隅良典・東京工業大栄誉教授(72)が、長期的な基礎研究を社会が支える仕組み作りについて、積極的な発言を続けている。背景にあるのは、短期的な成果を求める研究にばかりお金が流れ、「このままでは日本の基礎科学が立ちゆかなくなる」という危機感だ。神奈川県大磯町に暮らす大隅さんに、横浜市緑区すずかけ台キャンパスで思いを聞いた。

☆ナンバーツーじゃいけなのかという発想は、基礎研究をしないで応用をしようという発想で、中国のやっているやり方で、マネばかりやっていると一流の製品もできないと聞いた。

 「役に立たない研究をしよう」。ここ10年、大隅さんがそう話すと、「それでいいんですか」と首をかしげる学生が増えたという。細胞内の新陳代謝の仕組みを探るオートファジーの研究でノーベル賞を受けた大隅さん自身、研究の成果が役に立つかは意識してこなかった。「科学は金もうけのためのものではなく、社会を支えるもの。すぐに役に立つことばかり求めていたら基礎科学はできない」と話す。

☆私の話を聞いたのは理系の人だったが、面白いと思ったらとことんやってみる。役に立つかどうかで判断しても、新しいことを既存の古臭い実用の枠で縛って否定してしまうことになるので、興味の赴くまままずはやってみる。

 国から国立大学に支給され、自由に研究に分配できる運営費交付金は、国立大が法人化した2004年度から16年度までに、1割強にあたる約1470億円も減少。私立大に対する補助も15年度、44年ぶりに運営費全体の1割を切った。一方、研究者から研究計画を募り、審査を経て交付する文部科学省の「競争的資金」は増加傾向。16年度は約3445億円で、04年度から約920億円増えた。国の財政が厳しい中、文科省が戦略的に予算を振り分ける傾向が強まっている。

☆有名なトルストイが科学なんて何になると、原子の研究を罵倒したことがある。彼が言ったことが正しくなかったことは歴史が示している。まあ、原爆などという副産物はできてしまったが。何になるのか分からなかったものが世界を変えている。

ヴァレリーの言葉で、ナポレオンがヨーロッパを戦場にして暴れまわっていた頃、小さな実験室でカエルの足を電気でピクリと刺激し動かした。ボルタ電池である。今日の世界は、ナポレオンの影響よりもボルタの電気の影響の方が大きい。役に立たないお遊びごとと思われていたことが、このようにパソコンを動かしているところまでつながっている。

 「運営費交付金を毎年1%ずつ削られて、大学は本当に貧困になっている」。競争的資金を獲得するために研究者が目先の成果を得やすい研究に流れ、長期的な研究が難しくなると大隅さんは憂慮する。

☆ナンバーツーで良いと考えている中国でさえ日本よりも教育投資を行っている。量よりも質かもしれないが、量も限度を超えると質が変わってくる。日本人も雇うだろう。アメリカとの対抗のために教育に金を使うことになる。

 資金を確保するために企業との共同研究を求められることも多い。大学と企業の役割があいまいになり、大学が空洞化してしまうことも懸念する。

☆企業が付くと成果がすぐに出ないものは、援助が打ち切られるので、長くなかなか結果のでない基礎研究はできなくなる。

 大隅さんは1月、1億円を出して東工大に「大隅良典記念基金」を設立。基金には約60人から約9千万円の寄付も集まった。入学生を経済的に支援し、将来は研究も支えたい考えだ。

☆国家戦略としてやるべきことだと思うが、国がやる気がないなら、自分たちで微力でもやろうとする大和魂だね。

 さらに全国的な規模で基礎科学の振興を図る基金を立ち上げる構想も練っている。国に頼らず、社会が支える形で大学が収入を得られる道を開かなければならないと考えているからだ。「科学は文化。全く見返りを求めない寄付がもう少し日本にあっていい。大企業の海外への投資や広告費の0・1%でも基礎科学に向けられたら大学が変わる」

☆科学という言葉は明治以降出てきた、科目を分けるための文科の学、理科の学というのが理系だけの意味に使われるようになってしまったのだ。その前は文化と理科の区別もなかった。パスカルは科学者でありモラリスト(人間学者)でもあった。彼は幾何学の精神だけでは足りず文系的な繊細の精神を求めた。

 昨年10月のノーベル賞受賞から半年。電車の中でもサインを求められる熱狂を、少しでも研究を支えることにつなげていきたいと考えている。

☆受賞をお祭り騒ぎで喜ぶだけではなく、どんな意義があったのか、それを広く深く伝える必要があるだろう。

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 昨年8月まで行政改革担当大臣を務めた河野太郎衆院議員(神奈川15区)が自身のブログで研究費について問題提起し、話題を呼んでいる。研究者が資金を獲得したり、経費を精算したりするための事務手続きに無数の「ローカルルール」が存在し、研究に割くべきお金や時間を奪っているという。河野議員は背景に「大学に出向した役人の存在がある」と指摘する。

☆既存の枠組みの中でしか動かないのが役人だ。だから近代を行き詰まらせてしまったのは官僚制だ。

 大臣時代、ある研究者から1通のメールが届いた。日本学術振興会が配分する科学研究費の申請書にある線が邪魔だという。文字を入力すると外枠の線がずれ、いちいち修正が必要だった。文部科学省に働きかけて廃止すると、「線がなくなった!」と予想以上の反響があった。セルに1文字ずつ入力させるなど、見栄えを優先し、再利用しにくい「神エクセル(紙への出力しか考えていないエクセルファイル)」も廃止すると、研究者から続々と連絡が来た。

☆枠組みは整理するには便利だが、新しい事態には足かせとなり、時代遅れをひきづることになる。

 出張に出たら駅員と交渉して特急券を持ち帰らなくてはいけない、学会に出たら隣の人と写真を撮らなくてはいけない――。文科省にこれらのローカルルールを守る必要がないことを確認し、無駄を一掃するよう働きかけた。

☆自分が管理されるのが好きな人はあまりいないが、他人を管理するのが好きな人は大勢いる。凡庸な奴らだ。

 河野さんは「大学に出向した役人はどうやったら研究者が研究をしやすいかではなく、不正を防ぐためにルールを厳しくすることばかり考える」と指摘。財政難から科学技術振興予算が今後増えることはないとして、「効率を考えなくてはいけない」と話す。(天野彩)

☆不正ではなく、予算を減らすために役人が出かけているのだろう。それよりも天下りなんかするな。

■役立たない研究、しようよ ノーベル賞大隅さんの憂い

(朝日新聞デジタル - 04月04日 15:17)