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128「ススス」

 八月の禁煙以来、すっかりスーパーミドル級になってしまった僕は、階段を一気に駆け上がるときに膝ががくんと抜ける感覚を覚えてから意気消沈していた。そんな鬱々とした気分も油そば大盛りで無料ライスつきを食せば、多量の汗とともに一気に吹き飛んでいった。食欲という黒煙を吐きながら「あー!痩せなくっちゃなあ」という汽笛を大きく鳴らし、「でも明日から、明日から〜♪」とアナウンスが流れる。さしづめ脂肪の列車がより死に近い方へ、より死に近い方へとスイッチバックを何度も切り替えしているようなもので、しかしながら無自覚だから、一層スピードは高まっている。近頃は食事の際に胸の辺りがギュギュギュと痛む。これがブレーキというものなのだろうか。腹まで響く青春の軋轢。という冗談はさておき。

 仕事がだいぶ暇になってきたので(いいことだ)、今朝は早速ランニングをはじめた。昨晩購入したアディダスのランニングシューズ(形から入らないと身も入らない)の具合がとても良い。どんどん前に進んでいくので走ることがとても楽しく感じた。ランニングのあとにシャワーをしゃわーと浴びて(この表現好き)着ていた洋服をまとめて洗濯機に放り込んでからもう一度布団に潜り込みもう一眠り。ああ良い一日になりそうだ…と思いきや服のポケットにiPhoneを入れっぱなしにしてしまった。気付いたのは洗濯が終わったあと。もう取り返しがつかないだろうけど、生米とともにビニール袋へ突っ込んでおいている。当分電話連絡ができないのでご承知おきください。

 ところで冒頭でスーパーミドルと書いたけれども、言うまでもないことかもしれないがこれはボクシングの階級です。スーパーミドルはライトヘビーの手前です、と書くと危うさが伝わるように思う。ちなみに『あしたのジョー』の矢吹丈は言わずもがなバンタム級。そして力石徹フェザー級のリミットギリギリだったと思う。限界まで絞り込んでフェザー級のリミットだった人間がバンタム級まで落とすとなれば、漫画を読めば分かる通り、大変です。死ぬほど大変。文字通り。

 僕なんかはそう考えたら余裕のよっちゃんじゃないか、と自惚れています。八月までに二十キロぐらい、簡単じゃなかろうか……と最近人に息巻きまくっているので、今日から本当に頑張ります、といいつつおもむろに鍋に火をかけ「サッポロ一番みそラーメン」の袋を手に取ったのだった……。